和と洋が融合する、近代建築の粋を今に伝える本堂
1925年(大正14年)に建てられた本行寺本堂は、木造一部2階建ての浄土真宗本堂です。和の伝統と洋のモダンが美しく融合した近代建築の傑作として、2025年に国の登録有形文化財(建造物)に指定されました。
建物の外壁には、金網の上からコンクリートを塗る当時としては先進的な技法が採用され、背面には札幌軟石を用いて霧や火災への耐性を高めるなど、機能性と美しさを兼ね備えた設計となっています。特に注目すべきは、玄関の柱部分の装飾です。本来木彫が多い部分に、あえて左官による意匠を施すという独自の手法で仕上げられており、精緻な左官技術が随所に光ります。
施工を手がけたのは、新潟県間瀬出身の伝統宮大工集団「間瀬大工」。北海道内の歴史的建造物や道庁赤れんが庁舎にもその技が活かされており、釧路の近代建築史においても重要な位置を占める職人集団です。
7代目住職・菅原顯史のもと、長年にわたる地域との繋がりを大切にしながら、近代建築としての価値と文化遺産としての魅力を広く発信し続けています。今後も歴史や文化を愛する人々にとっての拠り所となるよう、保存と継承に力を注いでまいります。